QUI PARLE ? - MARC DUCRET

ダニエル・ユメールとの『LIBERTE SURVEILLEE』におけるスリリングなプレイでSKETCHに登場したマルク・デュクレ（ギター）の刺激的リーダー作。

創造／狂気の瀬戸際を疾走するような予測不能の痛快インプロで名高いデュクレだけれど、このアルバムでは作曲でも異才ぶりを発揮している。エッシャーの騙し絵の世界に迷いこんだかのような錯覚をいだくことがしばしば。しかし安手のトリックではなく、入念な仕込みにより音色、メロディ、リズムの変容を巧みに操作する中にジャズや即興演奏を点滅させ、ときに詩的言語を投入することによって知覚を刺激するというものだ。

ブルーノ・シュヴィヨン（b）、イヴ・ロベール（tb）といった仏ジャズ界のトップランナーや、ブノワ・デルベック（p/sampler）、ジュリアン・ルロ（sax）といった若手の脱ジャンル指向の異才他、オールスター・キャストも魅力的。なおデュクレは、ティム・バーン、ルイ・スクラヴィス他、現代欧米ジャズのトップランナーたちへの多大な貢献も特記されるべきアーティスト。