FRENCH COOKIN' - SERGE DELAITE TRIO

軽妙洒脱。歌心あふれるピアノが絶妙のリズムの上でさわやかにスウィング！この音楽でFeelin' Good、体験してください。どの曲もが本当に気持ちよく聴ける、粋を解する職人たちの手による名品の数々です。

小気味がいいなあ、この演奏。クルマで言うと、ミドル・クラスなんだけど足回りがちゃんと作ってあってハンドリングのレスポンスが良くて、大パワーの競争相手もコーナーでスパっと出し抜いてしまうような、それでいてまるで無理はしていないような……そんな感じ？

軽妙洒脱という言葉があるけれど、久しぶりに思い出した。でも、こういう余裕はきっと実力のなせる業なんだろうな。サワノからのリリースも三作目となったSerge Delaite、もうすっかりレギュラー・メンバーといった雰囲気だ。それというのも、彼の音楽がレーベルのカラーにとてもしっくりくるせいだろうと思う。トリオ全体がなめらかなスウィング感を持っているのだが、これはひとりDelaiteだけではなくベース、ドラムスのセンスも大きく貢献している。手堅くも鮮やかなサポートぶりが頼もしい。

選曲のほうはスタンダードとオリジナルのバランスよろしく、ブルースあり、ワルツあり、ボッサあり。そしてそのどれもが本当に気持ちよく聴ける。粋を解する職人たち、そんなイメージを持ってしまう彼等のアルバムに『French Cookin'』とはなんともふさわしいタイトルではないか。ただし、これを料理だとするとソースのほうは重くない。後口は常にさわやかだから。でも、ラストにそっと置かれたソロ演奏には名残を惜しむような淡い感傷がにじんでいて……これまた心憎い。

Delaiteの前二作をお好きな方はもちろん、これがはじめてのピアノ・トリオという人にも是非お薦めしたい掛け値なしの快作だ。