BLUE BOGEY - WILTON GAYNAIR

蒼空を穏やかに羽ばたく翼のように……。ジャマイカを飛び立ち、イギリスに舞い降りたテナー・サックスの名手、幻のリーダー作が新たな感動と共に登場！

Tempoファンでなくてもこの盤は是非手元においておきたい格好の一枚ではないだろうか。昨年LP化したが、是非CD化をしてほしいとの声が大きく今回CDファンの為にこの企画が実現した。先頃Zootのデュクレテ盤のCD化が好評であったのでその後押しもあったと思える。

ジャマイカ出身のWilton Gaynairは32歳で本作を録音、ミュージシャンとしては決して早いと言えないリーダー録音、そこに至るまで並々ならぬ経験と実践をつみその実力は確かな軌跡となった。ロリンズ、ホッジス、ともとれるその音色にエモーションをたたき込みいとも簡単にアドリブを消化、Tr.1の『Wilton’s mood』はそんな彼に似合いすぎている名演だ。そしてその作曲センスも心憎い限りである。Tr.4『Rhythm』は練習用トラックであるが偶然にもテープを回していたもの。とにかく早いその真っ黒いソロには脱帽だ。Tr.5『Blues For Tony』はTempoプロデューサーTony Hallに捧げたブルース。Tonyへの感謝をどう伝えよう！アンニュイな入りをする彼のソロは絶妙な輝きをはなっている。

ドイツに拠点を移しライブ中心の演奏活動をとり、消えては流れるアドリブに魂を燃やしつくした。その魂の“音”を澤野の音づくりで蘇らせた。ジャマイカの蒼き狼ここに見参！